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2022.09.14
12時間安心して火持ちをする“渦巻線香”を。
今からおよそ100年前の明治時代、大阪で“渦巻線香”という特殊なお線香が発明されました。
このお線香が発明されるまで、満中陰までの49日間、お線香の火を絶やさないように、家人や親戚が付きっ切りで“見守り”をしていました。
少しでも火持ちを伸ばす為、長いお線香も用いられていましたが、直線状の物では2時間程が限界だったといいます。
そのような中、負担を減らすため考え出されたのが、半日焚き続けることのできる“渦巻線香”でした。
製造の難しさから、なかなか安定しなかった燃焼時間
2mを超えるお線香を均等に巻くことは容易ではなく、“渦巻線香”は職人の技を持ってしても、品質を安定させることが大変難しい製品でした。
当時は糸を使い、吊り下げる方式だったため、使用状態も不安定になることが多く、湿気の多い季節には、重くなったお線香が必要以上に垂れ下がり、受け皿に当たって火が消えてしまうことや、お線香どうしが密着し立ち消えを起こしてしまうことなどがありました。
成形法と乾燥法を一から見直し、品質の向上へ大きな一歩
このような状況に頭を悩ませる中、“渦巻線香”の製造工程そのものを一から見直し、新しい技術を開発します。
従来のように、お線香を引っ張りながら巻き上げるのではなく、自動で押し出しながら渦巻状を形成する方法へと発想の転換をはかり、「1巻きあたり12時間5分~15分」という、
ほぼ一定の燃焼時間を実現できるように改良しました。同時に、乾燥方法も根本から改善、数日かかっていた乾燥工程をおよそ7時間で完了できるようになりました。
人気の香りを加え、「香煙の少ない渦巻線香」シリーズへと発展
新しい成形法と乾燥法が確立されたことで、品質と生産性は大きく向上し、家庭用実用線香としてご愛顧いただいてきたお線香を“渦巻線香”として仕上げることができるようになりました。
「清澄香樹林」や「沈香陽明」「花すみれ」など、実績のある製品をラインナップ。
その際、香りの量を1/3以下に、香煙の量も1/5以下に抑え、長時間の使用に適した調整を加えていきました。
“吊る”から“置く”へ。より安全にご使用いたただくために。
使用法も一から見直し、専用香炉「清蓮」と不燃性の炭素繊維マットを組み合わせることで、美しい釣鐘状を保持できるように開発。必要以上に垂れ下がったり、お線香どうしが密着する不具合を防ぐことに成功しました。
皆様に負担なく、安心して火を守りながら、香りを絶やさないこと。
100年前に大阪で生まれた“渦巻線香”は、新しい製法によって、
故人を偲ぶ尊い文化を、次の世代へつなごうとしています。